数々の名作を世に配信している文学賞ですが、文学賞を受賞することは作家さんの一つの目標と言えます。その文学賞を受賞した作品はそれだけレベルも高く、面白い作品が多いと言えるでしょう。日本国内国外に問わず数多くの文学賞がありますが、今回は特に有名な文学賞の特徴と代表作を紹介します。
日本の文学賞
芥川賞

特徴
芥川賞は日本で最も有名な文学賞のうちの一つと言えるでしょう。芥川賞は純文学における新人が対象となっている賞で、純文学を志す作家の登竜門の一つと言えます。純文学が対象ですので芸術性に重きを置いた作品が選ばれます。純文学が好きな方や文学の美しさに惹かれる方におすすめです
代表作
お笑い芸人の又吉直樹さんが書いた「火花」が近年では最も有名な芥川賞と言えるでしょう。金原ひとみさんの「蛇とピアス」と綿矢りささんの「蹴りたい背中」の最年少ダブル受賞が話題になりました。村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」や村田沙耶香「コンビニ人間」なども芥川賞受賞作です。
直木賞

特徴
直木賞は芥川賞と並ぶ有名な文学賞の一つです。芥川賞と違い大衆小説に選ばれる賞で娯楽性に特化した作品が受賞しています。ジャンルも推理、恋愛、時代小説、恋愛ものなど様々なジャンルが選ばれます。面白いストーリーを楽しみたい方や小説の世界に没頭したい方におすすめです。
代表作
直木賞作品は映画化やドラマ化アニメ化などされた作品が多くあります。戦争をテーマにしたアニメ映画「火垂るの墓」も直木賞作品です。そのほかにも景山民夫さんの「遠い海から来たCOO」浅田次郎さんの「鉄道員(ぽっぽや)」奥田英朗さんの「空中ブランコ」も直木賞授賞作品で映像化されている作品です。
本屋大賞

特徴
本屋大賞は本屋さんの書店員が投票で選ぶ賞です。最近は直木賞や芥川賞を受賞した作品よりも、売上部数が伸びる賞として注目を集めています。毎日、本に関わる仕事をしている書店員が選ぶ賞ですので本当に面白い作品が多く選ばれます。本選びで失敗したくない方や面白い本を探している方におすすめです。
代表作
出版社辞書編集部が舞台となった映画「船を編む」が話題になりましたが、この原作も本屋大賞
受賞作です。百田尚樹さんの「海賊と呼ばれた男」や小川洋子さん「博士の愛した数式」や恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」も本屋大賞受賞作です。
江戸川乱歩賞

特徴
江戸川乱歩賞は日本推理作家協会が主催する推理小説やミステリー小説を対象にし、推理小説家への登竜門として知られている賞です。受賞作は講談社の強いバックアップによって育成されるため、受賞後も次々と名作を出している受賞作家は多いです。ミステリー好きな方は受賞作を読むのもおすすめですが、気に入った作品があればその作家の別の作品を読んでみるのもおすすめです。
代表作
現在日本で最も有名なミステリー作家の一人である東野圭吾さんも「放課後」で江戸川乱歩賞を受賞しています。栗本薫さんの「ぼくらの時代」桐野夏生さんの「顔に降りかかる雨」や西村京太郎「事件の核心」なども江戸川乱歩賞作品です。
野間文芸賞
特徴
野間文芸賞は講談社初代社長の野間清治の遺志により設立された文学賞です。純文学が対象となり基本的には中堅作家にが選ばれる事が多い賞です。読み応えのある純文学が選ばれることが多く、じっくり文学の世界に浸りたい方にお勧めの賞です。
代表作
野間文芸書は当初、作家個人に贈られた賞で、「日本児童文学の父」「日本のアンデルセン」と呼ばれた小川未明が受賞しています。その後、作品自体に賞が与えられ町田康「宿屋めぐり」村上龍「半島を出よ」井上靖「孔子」や井伏鱒二「黒い雨」などが受賞されています。
すばる文学賞

特徴
すばる文学賞は純文学の賞ですが、エンターテメイト性を兼ね備えた作品が選ばれることが多い賞です。芥川賞の候補にも挙がる文学賞でもあり、注目度の高い文学賞の一つと言えるでしょう。ストーリー重視の純文学を読みたい方におすすめの賞です。
代表作
芥川賞の候補に挙がる文学賞で、実際に金原ひとみさんの「蛇にピアス」は芥川賞を受賞しています。そのほか辻仁成さんの「ピアニシモ」や本間洋平さんの「家族ゲーム」沢西拓典さんの「フラミンゴの村」が受賞されています
太宰治賞
特徴
筑摩書房と東京都の三鷹市が共同主催している文学賞が太宰治賞です。太宰治賞は太宰治が人間を描くのが得意だったこともあり、人間を深く描いた純文学系の作品が受賞する傾向にあります。人間の心理や面白い人間関係が絡む小説を読みたい方におすすめの賞と言えるでしょう。
代表作
「こちらあみ子」で太宰治賞を2010年に受賞した今村夏子さんは2019には「むらさきのスカートの女」で芥川賞も受賞しています。宮本輝さんの短編集「蛍川・泥の河」は1978年に太宰治賞を受賞した「泥の河」、芥川賞の「蛍川」を一冊で読むことができます。錦見映理子の「リトルガールズ」や津村記久子さんの「君は永遠にそいつらより若い」も太宰治賞を受賞している作品です。
早稲田文学新人賞
特徴
早稲田文学新人賞は早稲田文学会によって主催されている公募新人文学賞です。早稲田大学文芸科の教授であった平岡篤頼さんが創設した文学賞です。早稲田文学という雑誌があり受賞作が記載されているので気になるのであれば取り寄せてみるといいでしょう。
代表作
早稲田文学賞受賞作黒田夏子さんの「abさんご」は同作品で芥川賞も受賞しています。その他にも間宮緑の「牢獄詩人」や松本薫さんの「ブロックハウス」小笠原和幸さんの「テネシーワルツ」などが早稲田文学賞を受賞しています
海外の文学賞一覧
ノーベル文学賞
特徴
ノーベル文学賞は世界的に最も有名な賞の一つと言えます。ノーベル文学賞は作品ではなくその作家の全作品、活動の全体に与えられるものです。世界的な著名な作家さんが受賞しています。世界的な有名な作品を読みたい方や読み応えがあり濃厚な作品を読みたい方は、ノベール賞作家作品に手を取って見るといいでしょう。
代表作
日本でノベール賞を受賞した作家は川端康成さんと大江健三郎さんの二人だけです。近年、村上春樹さんが候補に挙がったことでも話題になりました。また、ヘルマンヘッセやジョン・スタインベック、ケルテースイムレなどもノベール文学賞受賞作家です。
ノイシュタット国際文学賞
特徴
ノイシュタット国際文学賞はアメリカの文学賞で、ノーベル文学賞に次ぐ権威と評されています。
ノーベル文学賞と同じく作品ではなく作家自身が受賞されるのが特徴です。クラホマ大学と「World Literature Today」によって隔年で施賞されており、アメリカではなく様々な国の文学者が受賞さています
代表作
アメリカ主催の文学賞ですがアメリカ人が受賞したのはエリザベス・ビショップさんとW:Paja Raoさんエドウィージ・ダンティカさんの三人しか受賞されていせん。その他にはメキシコのオクタビオ・バスさんやスイス人のマックス・フリッシュさんが受賞しています。
フランツ・カフカ賞
特徴
フランツ・カフカ賞は世界的に有名に権威あるチェコの文学賞です。対象になるのは世界中の現在文学作家で、この賞も作品に対してではなく人に対して賞が贈られます。フランツ・カフカ賞授賞作家がノーベル賞に受賞されることが多く、ノーベル文学賞の登竜門の位置づけにもなっています。
代表作
村上春樹さんがアジア人として初めて受賞したことで話題になった賞でもあります。その他にはフィリップ・ロスさん、ハロルド・ピンターさん、エルフリーデ・イェリネクさんもフランツ・カフカ賞に受賞している作家さんです。
文学賞のまとめ
今回は各文学賞の特徴と代表作を紹介しましたがいかがだったでしょうか。今回の紹介でお気に入りの作品を見つけたら、他の作品を手に取って見ることをおすすめします。それがきっかけでその作家さんのファンになることもあるでしょう。
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