なだらかな文章の中に含まれる厭世的な毒を描く角田光代さんの作品は読了後心に残り続けます。巧みな登場人物たちの心象描写は自らの体験したことのみならず、経験したことのない状況や心情におかれた人物にも思わず共感してしまうほどです。
角田光代さんいわく”本は人を呼ぶ”そうで、確かに普段選んでいるように思える本も表紙やタイトルに惹かれてふいに購入する本も巡り合わせで本に呼ばれたのだと考えると一冊、一冊が愛おしく思えます。
今回はそんな角田光代さんの作品たちを紹介していきます。気になるものがあれば是非一度手に取り、物語のページをめくってみて下さい。
おすすめの小説家角田光代とは
小説家の他に児童文学作家、翻訳家としても活躍する角田光代さんは1967年に神奈川横浜市で生まれました。大学在学中に彩河杏名義で執筆した「お子様ランチ・ロックソース」で上期コバルト・ノベル大賞を受賞し、ジュニア小説というジャンルでデビューしましたがのちにこれは自分が望んでいたジャンルでは無かったと話しています。
その後大学卒業から一年経た頃に「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、角田光代としてデビューしました。角田光代さんの作品は様々な女性の心を巧みに描くことが特徴で、共感を呼ぶ心理描写には思わず心動かされること間違いありません。
2023年最新の角田光代の小説
『銀の夜』
~内容~
イラストレーター井出ちづる。夫は若い女と浮気をしている。嫉妬はまるで感じないがそんな自分に戸惑っている。早くに結婚して母となった岡野麻友美。自分ができなかったことを幼い娘に託し、人生を生き直そうとする。帰国子女で独身の草部伊都子。著名翻訳家の母のように非凡に生きたいと必死になるが、何ひとつうまくいかない。三人は女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをした。人生のピークは十代だったと懐かしむ。三十代となったこれからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか…。『対岸の彼女』直木賞受賞時に書かれた、女たちの物語。14年間埋もれていた傑作が、今、私たちの魂を揺さぶる。著者5年ぶりの長編小説。
(Amazonより)
価格 | 1760円 |
ジャンル | 文芸作品 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 300ページ |
角田光代の小説のおすすめ人気比較ランキング
20位:彼女のこんだて帖
~内容~
長く付き合った男と別れた。だから私は作る。私だけのために、肉汁たっぷりのラムステーキを!仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、特効薬になった驚きのピザ、離婚回避のミートボールシチュウ―舌にも胃袋にも美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき連作短編小説集。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 682円 |
ジャンル | 短編集 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 224ページ |

“前から読みたかった作品で、久し振りに角田光代さんの本を読みました。食にまつわる14話の短編集で、それぞれの登場人物が、全作品を通して何かしら関わり繋がりがある、連作になっています。どれも良いエピソードばかりで、そして心動かされます。巻末のレシピも、エピソードに出て来る料理のレシピなので、料理のイメージも楽しめます。角田光代さんの文章は、読みやすくて伝わるので、とても好きです。”amazon.co.jpより
19位:幾千の夜、昨日の月
~内容~
かつて私に夜はなかった―長じて、友と夢中で語り明かした夏の林間学校、初めて足を踏み入れた異国の日暮れ、終電後恋人にひと目逢おうと飛ばすタクシー、消灯後の母の病室…夜は私に思い出させる。自分が何も持っていなくて、ひとりぼっちであることを―知らない場所にひとり放り出されたような心細さと非日常感。記憶の中にぽつんと灯る忘れがたいひとときをまざまざと浮かび上がらせる名エッセイ。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 440円 |
ジャンル | エッセイ |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 175ページ |

“普通の旅行記と違って、その土地土地の夜を切り取ったところが、とても良かった。世の中には様々な旅行記が存在しますが、こういう作品は、私にとって大変新鮮でした。
“amazon.co.jpより
18位:トリップ
~内容~
普通の人々が平凡に暮らす東京近郊の街。駆け落ちしそびれた高校生、クスリにはまる日常を送る主婦、パッとしない肉屋に嫁いだ主婦―。何となくそこに暮らし続ける何者でもないそれらの人々がみな、日常とはズレた奥底、秘密を抱えている。小さな不幸と小さな幸福を抱きしめながら生きる人々を、透明感のある文体で描く珠玉の連作小説。直木賞作家の真骨頂。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 572円 |
ジャンル | 短編集 |
出版社 | 光文社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 270ページ |

“角田さんの描く人間は、ごく普通に見えながら、皆、闇を抱えている。自分のことを「わたし」ではなく「あたし」というここに登場する女性たちの言葉遣いは、現在のごく日常的、平均的な日本語なのだけれど、活字として読むと品がなく悲しい。「生きていくって、きれいごとでは済まされない。人間はきれいな生き物じゃない。」というような現実を突きつけられるようで、読んでいて辛くなるのだけれど、なぜか読後には「それでも生きよう」と思わされる、まさに角田マジックでした。”amazon.co.jpより
17位:愛がなんだ
~内容~
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」―OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 572円 |
ジャンル | 恋愛小説 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 224ページ |

“角田光代先生の作風が良く現れてる良書です。報われない恋程、ずぶずぶつかっちゃう不器用なテルコさんとまもちゃん、その他大勢のお話。恋するあなた、不倫中のあなた、悩むために打開策を見つけたいあなた。答えは無いけど、読むと自分を客観視出来るオススメ本。みんなが幸せになれる恋が無いから恋愛は面白いのです。”amazon.co.jpより
16位:キッドナップ・ツアー
~内容~
私はおとうさんにユウカイ(キッドナップ)された!私の夏休みはどうなっちゃうの!?五年生の夏休みの第一日目、私はユウカイ(=キッドナップ)された。犯人は二か月前から家にいなくなっていたおとうさん。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? 海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の、ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。
(Amazonより)
価格 | 506円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 208ページ |

“小学生のころ図書館で読み、大人になった今でも忘れられず購入しました。年月を経っても覚えているほどにこの本がお気に入りです。忘れている描写や出来事もあり、懐かしさと新鮮さをまた味わいながら読みました。
あくまで主人公視点で続くお話。大人の詳しい事情なんて雰囲気や予測でしかわかりません。でもそれが同じ小学生だった私に親近感を抱かせ、忘れられなくなったのかもしれません。父親の細かく後先を考えないところやしょうもなさは現実味がありすぎるwと苦笑してしまいます。実際の大人にもいるよなぁって感じです。最終的に父親の誘拐の動機などがはっきりわからない煮え切らないところがまた私のお気に入りです。ある一種現実味しかないちょっといつもと違う日常のお話。私は大好きです。
“amazon.co.jpより
15位:幸福な遊戯
~内容~
ハルオと立人と私。恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」―本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに…。表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。今もっとも注目を集める作家、角田光代の原点がここにある。記念碑的デビュー作、待望の文庫化。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 638円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | KADOKAWA |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 224ページ |

“現代の女流文学は予感の表現だと思っているのですが、そういう意味でこの人の小説は現代女流文学の代表といっても過言ではないと思います。悲しいことが起こる前の束の間の幸福を描かせてこの人の右に出る人はいなきのでは。素晴らしかったです。”amazon.co.jpより
14位:笹の舟で海をわたる
~内容~
朝鮮特需に国内が沸く日々、坂井左織は矢島風美子に出会った。陰湿ないじめに苦しむ自分を、疎開先で守ってくれたと話す彼女を、しかし左織はまるで思い出せない。その後、左織は大学教師の春日温彦に嫁ぐが、あとを追うように、風美子は温彦の弟潤司と結婚し、人気料理研究家として、一躍高度成長期の寵児となっていく…。平凡を望んだある主婦の半生に、壮大な戦後日本を映す感動の長篇。「本の雑誌」2014年第1位。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 825円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 544ページ |

“私にとっては主人公の左織よりも風美子のほうが強く引かれました。疎開先での幼少期の壮絶な孤独、心身共に生きるか死ぬかといった厳しい暮らし、それがようやく終わっても家族を一人残らず失い、結局疎開先での辛い暮らしと変わらない日々を送っていただろう風美子。
唯一優しさのかけら(優しくしたほうが記憶していないほどのささいな接触)を与えてくれた左織を発見し交流を持てたとき、どれほどの喜びがあったことか。物語は左織から見たものなので、自分を慕い尽くしてくれる風美子に暗い裏の意図があることを疑わせる表現がありますが、よく読むとどれも左織の思い込みととれます。
風美子の、左織を通して得た家族への愛情がひたむきすぎて切ないと感じました。同時に愚鈍で等身大の中年女性の左織にヤキモキしました。二人はどっちが光でどっちが影かわからないけど、そうした関係に思えました。
“amazon.co.jpより
13位:くまちゃん
~内容~
風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが…。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 693円 |
ジャンル | 恋愛小説 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 384ページ |

“ふられ小説、さっきまで語られた人物が次の話で主人公となり、各人のキャラクター設定が細かくリアルで恋する相手によって思考が変わる姿が面白い、7編とも人と人とのかかわりがふんだんであるが、「光の子」が秀逸である、主人公久信と分太との関わりは実際のページ数の何倍も世界が膨らんでいく力作である。
“amazon.co.jpより
12位:空中庭園
~内容~
東京郊外のニュータウンで暮らす京橋家のモットーは、「何ごともつつみかくさず」。タブーを作らず、出来るだけすべてのことを分かち合おうとする。でも、タブーのないはずの家族の間で本当はみんなが秘密を持っており、一見すると明るく平凡な家庭は、実際はとうに壊れてしまっている。もう何年も複数の愛人を持つ夫、女手一つで育ててくれた母親の影響から逃れるために計画的に妊娠・結婚へと持ち込んだ妻……異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影の向こうに覗くのは乾いた絶望か。ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた、連作家族小説。
(Amazonより)
価格 | 682円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 文藝春秋 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 281ページ |

“購入した当初、読み始めて、つまらな~い。15歳の女の子が、ラヴホテルへ同級生の男を誘う。なんじゃこりゃ。見知らぬ男を誘って、もう一度ラヴホテルへ。ひとりの男性として、実に不愉快だ。せっかく買った本なのだから、再挑戦。家族のひとりひとりが主人公になって語りだす。お父さんには、お父さんの人生が。お母さんには、お母さんの人生が。隠し事のない家族なんて嘘。夫にも子どもにも、言えない過去がある。
おばあさんとの確執。では、おばあさんって、悪女なの?角田光代さんの人物描写力が凄い。人間には、いろんな顔がある。家族だからといって、全てが分かり合えるわけではない。そんなことを、教えてくれる。
私の母も、姉にしか話してなかった過去が、私に対する想いがあった。なんで話してくれなかったのか。家族だから、口に出して言わなくてもわかってくれるはず。そうじゃないんだ。 この本を読んで、あらためて気づかされた。
“amazon.co.jpより
11位:ひそやかな花園
~内容~
幼いころ、毎年家族ぐるみでサマーキャンプを共にしていた七人。全員ひとりっ子の七人にとって天国のような楽しい時間だったキャンプは、ある年から突然なくなる。大人になり、再会した彼らが知った出生にまつわる衝撃の真実。七人の父は誰なのか―?この世にあるすべての命に捧げる感動長編。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 836円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 講談社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 384ページ |

“角田光代さんの本領発揮という一冊。力強さ、緊張感。どうなってしまうのだろうかと思いながら読みましたが、最後、エピローグを終えた時には爽やかな気持ちになりました。男、女、家族、親子。いろいろなことを考えさせられました。とにかく力ある内容です。”amazon.co.jpより
10位:坂の途中の家
~内容~
刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子供を殺した母親をめぐる証言にふれるうち、彼女の境遇に自らを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの光と闇に迫る、感情移入度100パーセントの心理サスペンス。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 792円 |
ジャンル | ミステリー小説 |
出版社 | 朝日新聞出版 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 504ページ |

“子どもや姑、周囲の人とのやりとりや描写がリアルで、もしかして主人公が自分なんじゃないかと錯覚してしまう感覚がありました。おもしろかった。子持ちの女性はきっと楽しめると思うけど、男性が読んでどう感じるのか、興味があります。
“amazon.co.jpより
9位:森に眠る魚
~内容~
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 755円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 双葉社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 456ページ |

“小学校のお受験は全く考えなかったので、母親たちの嫉妬、憎悪満載のこの小説は大変興味深いものでした。音羽事件があった時、この辺に加害者が住んでいたら、事件は起きてないとママ友と話した記憶があります。角田光代は、主婦の心理描写が上手いですね。坂の途中の家も、面白いです。
“amazon.co.jpより
8位:平凡
~内容~
妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。人気料理研究家になったかつての親友・春花が、訪れた火災現場跡で主婦の紀美子にした意外な頼みごと(「平凡」)。飼い猫探しに親身に付き添うおばさんが、庭子に語った息子とおにぎりの話(「どこかべつのところで」)。人生のわかれ道をゆき過ぎてなお、選ばなかった「もし」に心揺れる人々を見つめる六つの物語。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 572円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 261ページ |

“私は正しい人生を歩んでいるのだろうか?考えだすと後悔の念にとらわれてしまうことがあったのですが、この作品に出会って救われました。本当にありがとう。感謝です。”amazon.co.jpより
7位:Presents
~内容~
私たちはたくさんの愛を贈られて生きている。この世に生まれて初めてもらう「名前」。放課後の「初キス」。女友達からの「ウェディングヴェール」。子供が描いた「家族の絵」―。人生で巡りあうかけがえのないプレゼントシーンを、小説と絵で鮮やかに切りとった12編。贈られた記憶がせつなくよみがえり、大切な人とのつながりが胸に染みわたる。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 628円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 双葉社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 220ページ |

“女の子が一生の間に貰う、忘れられないさまざまなプレゼントについてのエピソードを、角田光代のすっきりした語り口でつづっている。ここで書かれているプレゼントそのものじゃなくても、きっと誰しもが同じような思い出を持っているのではないだろうか。ちょっと涙したり、どきどきしたり、怒ってみたり、ほのぼのしてみたり・・・。そんなときに貰うプレゼントは、半分が思い出なのだろう。成長していくにつれて変化していく女の子の感情の記述もすごくすばらしい。今までもらったプレゼントに、いまさらながら感謝したい気持ちでいっぱいになる。
“amazon.co.jpより
6位:それもまたちいさな光
~内容~
デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま一人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる幼馴染の駒場雄大。だが仁絵には雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない理由があった。二人の関係はかわるのか。人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 539円 |
ジャンル | 恋愛小説 |
出版社 | 文藝春秋 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 207ページ |

“角田さんの本は3冊目になります。彼女たちの生き方をそれぞれに描いていきます。といっても、4人の中でも仁絵が主役ですね。仁絵を中心に物語は進んでいきます。「100人にやめろと言われてもやめられない恋」恋は盲目といいますが、正にその通りですね。自分でも違和感を感じている。でも、別れられない。
結婚して20年近く経つ私からするとうらやましいです。そのときの本人は苦しい・切ないかもしれないけど、そういう気持ちってうらやましいなって思ってしまいました。
“amazon.co.jpより
5位:紙の月
~内容~
ただ好きで、ただ会いたいだけだった。わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。正義感の強い彼女がなぜ?そして―梨花が最後に見つけたものは?!第25回柴田錬三郎賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 649円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 角川春樹事務所 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 359ページ |

“角田さんの作品は「笹の舟で海をわたる」から何作か読んでいますが、それぞれに時代背景も主人公のキャラクターも違っていてバラエティーに富んでいるので飽きません。文章も簡潔で読みやすく、一度読んだらぐいぐい引き込まれる感じがします。この作品は40代の主婦のパート銀行員が横領するストーリーですが犯罪小説とは全く違っていてあくまで個人の私生活が題材であり生きてきたこれから生きていくことをテーマにしています。主人公はとても魅力的で男性の私から見ても心惹かれるのですが映画では宮沢りえさんが演じていたようです。映画は見ていませんが宮沢さんとは私のこの作品を呼んだイメージからすると「違うな」って感じがします。”amazon.co.jpより
4位:対岸の彼女
~内容~
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 704円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 文藝春秋 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 334ページ |

“リアルな女性の人間関係が見えた気がした。自分が抱えている心のモヤモヤは誰にでもある事なのだと思ったら安心できた。友達や家族にいくら愚痴ってもスッキリしなかったなんとも言えない不安不満を自分でなんとか出来そうな気がしてきた。人生たいしたものじゃないけど意外と悪くないのかもしれないと思う。それぞれが色んな事情の中で生きているんだから表面的な事で判断するのはやめようと思った。愚痴批判自慢をして自分を守らなくてももう大丈夫なんだと分かった。
“amazon.co.jpより
3位:ツリーハウス
~内容~
じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ?この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか―。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。伊藤整文学賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 825円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 文藝春秋 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 483ページ |

“親子三代の家族物語である。北杜夫の「楡家の人々」風な、変わり者の人達が歴史の変遷と共に描かれている。物語の起点は、戦争という個人では抗うことのできない事象にあり、そこから「逃げた」男と女が家族の出発点になっている。この「逃げ」たことで、その後の家族は根無し草のような生き方を強いられる。しかし戦争程ではないにせよ、市井の人間は大きな歴史のうねりに晒され生きている。その意味では戦後の高度成長期に、地方から都会に生きる糧を求めて出てきた人々も、ある意味で「逃げ」てきたようなものだろう。そして、そこで出会った男女が成り行きで結ばれることもあったに違いない。この家族は墓が無いというが、都会で墓のある家族がどれ位いるだろうか。家族の絆とは何か、考えさせられる一作である。ただあえて難を言えば、時間軸が、その時々の大きな事件に乗っかる形で描かれていることで、それが物語に多少安易な印象を与えている。”amazon.co.jpより
2位:さがしもの
~内容~
「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 572円 |
ジャンル | 文芸作品 |
出版社 | 新潮社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 240ページ |

“角田光代作品は久しぶりだった。最初の話で手首をつかまれ、次の話で肩をつかまれ、物語の中に引きずり込まれた。何か見覚えがあるような光景が広がり、本好きな人の気持ちを再確認できる短編が続いた。読んで良かった短編集でした。大人なら共感できる人が多いと思います。
“amazon.co.jpより
1位:八日目の蝉
~内容~
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
価格 | 649円 |
ジャンル | ミステリー小説 |
出版社 | 中央公論新社 |
著者 | 角田 光代 |
ページ数 | 376ページ |

“潜伏先で顔を真っ赤にして泣き止まない赤ちゃんの薫。麦わら帽子をかぶるあどけない幼女の薫。子どものすこやかな成長と幸せだけが、この世のすべて。こんな状況を、私も育児中の一瞬一瞬に感じました。が、それは反面、社会から隔絶し取り残されてくヤバい状況。これを不倫相手の子どもの誘拐、潜伏という舞台設定でシュールに再現した作者の趣向ってか策略が凄い。愛児を育てる喜びを夫婦から奪い、女児の人権をも侵害したこの女の逃走物語ですが、驚いたことに実話がベースとのこと。
『対岸の彼女』で角田氏は、専業主婦の焦りをディテールまでリアルに描いています。
“amazon.co.jpより
角田光代の小説のおすすめの選び方
ジャンルで選ぶ
恋愛小説
角田光代さんの恋愛小説はリアルで優しく時に鋭くもあり、経験がなくてもなぜだか共感を呼ぶ作品ばかりです。
失恋話だけを集めたほろ苦い短編集「くまちゃん」や男女が経験するシンデレラストーリーには程遠いささいな出会いを描いた短編集「人生ベストテン」、主人公の17歳から32歳までの恋愛遍歴を綴った長編小説「あしたはうんと遠くに行こう」や大好きな人に夢中になりすぎて他のことが見えなくなる主人公の恋愛模様を描いた「愛がなんだ」などがあります。
「愛がなんだ」では片想いを拗らせた主人公の愛と執着が痛いほどリアルに描かれており面白くも心あたりのある人にはしんどい、心を締め付けるほどにダークな作品です。

ミステリー小説
恋愛小説を好んで読まない方にはミステリー小説がオススメです。厭世的な雰囲気と巧みな心象描写はそのままにじわじわと広がる緊張感を味わうことができます。
幼い日毎年サマーキャンプで家族ぐるみの付き合いをしていた一人っ子の7人、大人になって再開した彼らが知る出生に関する衝撃的な事実を描いた「ひそやかな花園」は人の死なないミステリーで感動必須の長編作です。他にもドラマ化された「坂の途中の家」は補充裁判員に選出され30代母親による乳児虐待死事件を担当することとなった2歳の女児を持つ専業主婦の心理を巧みに描いたサスペンスになっています。

エッセイ
多くの小説家がエッセイを描いているように角田光代さんもまたエッセイを描いています。エッセイは随筆とも呼ばれ小説とは違いノンフィクションで描かれるため、作者の人柄や考え方を小説より具体的に理解することができます。角田光代さんのエッセイは時に人間の闇を鋭く描く小説とは違い前向きで明るく笑えるものばかりです。
美味しいものを食べたときの幸せな気持ちになれる、好き嫌いや苦手な食材にも真撃に向き合う食のエッセイ「今日もごちそうさまでした」や角田光代さんが普段何にお金を使っているか、家計簿と一緒に購入したものに関するエピソードが読める「しあわせのねだん」など小説とはまた違った角田ワールドを是非ご堪能ください。
映像化された作品を選ぶ
映像化の良さは小説に描かれていない表情の機微や身振り背景などが写されることにより物語をよりリアルで具体的に見ることができる点にあります。
角田光代さんの作品は多くが映像化されており、家族5人と家庭教師の6人をそれぞれの異なる視点から1つの家族を描いた「空中庭園」や不倫相手の女児を誘拐した女性の逃亡劇と誘拐された少女の成長後を描く「八日目の蝉」、バブル崩壊直後の1994年を舞台に平凡な主婦による巨額横領事件を描く「紙の月」などがあります。
「紙の月」は平凡な主婦が横領により変わっていく過程をリアルに描いており、スリリングかつスピーディーに進んでいく物語には目が離せません。時間も忘れて思わず一気読みしてしまう作品となっています。

文学賞受賞作品を選ぶ
デビュー作「幸福な遊戯」の海燕新人文学賞受賞を始めとして多くの文学賞を受賞する角田光代さんの作品、受賞作はどれも間違いなく面白いため初めて角田光代さんの作品を読む方にオススメなのはもちろんのことファンの方は是非ご一読いただきたい物語ばかりです。
第18回野間文芸新人賞を受賞したいわゆる普通の人とは違う感覚を持った人物が登場する3作品からなる「まどろむ夜のUFO」や第32回川端康成賞を受賞した7つの短編から成る厭世的な雰囲気と複雑な心情を勢いよくえがいた「ロック母」などがあります。

小説の長さで選ぶ
長編小説
長編小説の魅力のひとつは物語を追い続けることにより得られる没入感です。登場人物たちと物語を追い展開されていく物事に一喜一憂していくことは面白いだけでなく情緒面を鍛えることにも繋がります。角田光代さんの作品では「空中庭園」や「八日目の蝉」や「あしたはうんと遠くに行こう」や「エコノミカル・パレス」などがあります。
「エコノミカル・パレス」は34歳フリーターで失業中の年下と同棲している主人公がある日20歳の男からかかってきた”テキ電”をきっかけに始まります。リアリティのある設定と描写は始終ドキドキとさせられ時折自らの状況と重ねて背中がヒヤリとしてしまうほどです。
短編小説
短編小説はちょっとした隙間時間に読めるところが魅力です。例えば通勤や通学の時間や休憩時間、就寝前の時間などに手軽に手に取ることができます。また長編に比べて途中で止まることが少ないため内容を忘れてしまうということもないです。
角田光代さんは短編集を比較的多く出版しており小説を普段読まない、まずは短編小説から入りたい方にもオススメできます。「さがしもの」は本に関する9つの短編が収録されていて、単行本での旧題は「この本が、世界に存在すること」です。本を読むのが好きな方なら共感できる点がいくつもあり、読了後は温かい気持ちになれる一冊となっています。

デビュー作を選ぶ
前述した通り角田光代さんは彩河杏名義で一度デビューした後角田光代名義で再度デビューしています。大学在学中彩河杏名義で上期コバルト・ノベル大賞を受賞したデビュー作「お子様ランチ・ロックソース」は主人公と恋人、恋人の親友度の3人で過ごす時間を描いています。コバルト・ノベル大賞入選作品集に収録されており、角田光代さんのファンには見逃せない作品です。
大学卒業の1年後角田光代名義で海燕新人文学賞を受賞したデビュー作「幸福な遊戯」は表題作を含む3作品から構成されており、主人公とどこか足りない家族が描かれています。丁寧に描かれる心理描写には心動かされること間違いありません。
著名作を選ぶ
数々の作品が映像化や文学賞の受賞を果たしている角田光代さんの小説は著名な作品ばかりです。著名な作品は間違いなく面白いものが多く、本好きな方なら是非一読していただきたい作品たちです。
「空中庭園」、「紙の月」はもちろんですが、中でも1番の代表作は映像化もされた「八日目の蝉」でしょう。”母性”をテーマにした「八日目の蝉」は不倫相手の女児を誘拐した女性の逃亡劇と誘拐された少女の成長後を描いており第2回中央公論文芸賞を受賞しています。豊かな情景描写が魅力の本作は緊張の糸がずっと薄く張った暗い雰囲気と対照的に鮮やかに描かれる景色や登場人物、涙なしには見れない物語です。
角田光代の小説のおすすめまとめ
いかがでしたか?角田光代さんの作品世界は本当に心象描写が上手く、自分の状況と重ねてドキドキとし、思わずページを次々と捲ってしまいます。共感しやすい世界観は普段小説を読まない方にも入りやすいため、初めて長編小説を読む方にもオススメです。
また絵本において文章を担当することもあり、まだ小説を読めないお子さんでもその絵本を通して角田光代さんの作品世界に触れることができます。気になる作品があれば是非一度読んでみて鮮やかで中毒的な文章に虜になってみて下さい。
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